ご出産

ようこそ!せんちゃん
ようこそ!あかちゃん

こうのとりが
せんちゃんを
おとうさんの けんいちさん
おかあさんの えみさんに
とどけるために
やめしに むかって
とんでいました。
「せんちゃんが うまれる
2017ねん10がつ6にち
2じ55ふんまでには
まだ だいぶ じかんも あるなぁ。
ちょっと ひとやすみして いくかな。」
こうのとりは ずっと とびつづけて いたので
つかれて いたのです。

こうのとりは きれいな おはなばたけに
まいおりました。
「きもちのいい おはなばたけだ。」
こうのとりが そういって やすんでいる あいだに
せんちゃんは はいはいして
おはなばたけの さんぽに でかけました。

せんちゃんが おはなばたけに
はいって いくと そこに きれいな
ようせいの おうじょさまが あらわれました。
「ここからは ようせいの くにですよ。
ようせいで ないと はいれませんよ。」
せんちゃんは
なんの ことだか わかりません。
すると ようせいの おうじょさまは
「せんちゃんを
ようせいに して あげましょう。」
と いって つえを ふりました。

すると せんちゃんの せなかに
かわいらしい はねが はえました。
はねが はえると
そこに ちいさな はなの ようせいが あらわれました。
「わたしが ようせいの くにを あんないします。」
せんちゃんは
はなの ようせいの あとに ついて
おはなばたけの うえを とんで いきました。

「ようせいの くにの おともだちに
しょうかいして あげましょう。」
はなの ようせいは せんちゃんを
みんなの ところに つれて いきました。
「みなさーん あたらしい ようせいの
せんちゃんですよー。」
おはなに たくさん ちいさな ようせいたちが
あつまって きました。
あたらしい おともだちが できて
みんな うれしそうです。
「せんちゃんの
かんげいかいを しましょう」
みんなが いいました。

ちいさな ようせいたちは
せんちゃんの ために
ジュースを つくろうと
たくさん くだものを もって やって きました。
せんちゃんの ための ごちそうです。
「どうして みんな はじめて あったのに
こんなに しんせつに して くれるの?
「だって せんちゃんの
よろこぶ かおが みたいんだもの。」
ちいさな ようせいたちが こたえました。
せんちゃんは うれしくて
ジュースを いっぱい のんで しまいました。
「それでは こんどは みんなでかくれんぼを しましょう。
わたしが おにに なるから みんな かくれて いいです よ。」 と はなの ようせいが いいました。

それを きくと みんなは あっと いうまに
おはなの かげに かくれました。
せんちゃんも いそいで
おはなの かげに かくれました。
でも みんな すぐに
はなの ようせいに みつかってしまいました。

「こんどは おにごっこを しましょう。」
はなの ようせいが いうと
「こんどは せんちゃんが
おにに なる。」
と せんちゃんが いいました。
「えっ せんちゃんが?」
みんなは おどろきました。
「どうして おになんかに なるの?」
と みんなは せんちゃんに
たずねました。
「だって みんなの よろこぶ かおが みたいんだもの。」
と せんちゃんは こたえました。

みんなは せんちゃんが
こころの やさしい こだと おもいました。
それで ようせいの おうじょさまが
せんちゃんを ようせいに
したんだと おもいました。
ちいさな ようせいたち みんなは
そら たかく のぼりました。
とりさんが やって きて
びっくりぎょうてんしていました。
せんちゃんは たのしくて たのしくて
いつまでも とびまわって いました

あまり とびまわって いたので
みんな つかれて しまいました。
ちいさな ようせいたちは
おはなの うえに まいおりて
おはなの つぼみの なかで おひるねを しました。
せんちゃんの まわりに みんな よりそって
しあわせそうに ねて しまいました。

しばらく ねて いると
どこからか かすかな こえが きこえて きました。
「せんちゃん。」
「あっ こうのとりの こえだ。」
みんなも
「きこえる きこえる。」
と いいました。
せんちゃんが みあたらないので
こうのとりが しんぱいして さがして いるのです。
「もう いかなくては。」
せんちゃんは いいました。

「また あそびに きても いい?」
せんちゃんが たずねました。
「でも にんげんに なったら
ようせいで なくなっちゃうから
わたしたちの ことなんて きっと わすれちゃうよ。」
ちいさな ようせいたちが いいました。
「ぜったいに わすれない!」
せんちゃんは おおきな こえで いいました。
「さようなら また くるね。」

せんちゃんは
こうのとりの こえの する ほうへ
ようせいの くにの おはなばたけから
でて いきました。
すると せんちゃんの
せなかの はねが きえました。
「さようなら また あそびに きてね。」
ちいさな ようせいたちは
せんちゃんに てを ふりました。

せんちゃんが いって しまうと
ちいさな ようせいたちは
「せんちゃんは
わたしたちの ことなんか
すぐに わすれちゃうよ。
もう ようせいじゃあ ないんだから。」
「そうだよね。はねが ないんだものね。」
と かなしそうに いいました。

すると そこに また
ようせいの おうじょさまが あらわれました。
そして いいました。
「だいじょうぶ。せんちゃんは
こころが ようせいに なりましたからね。
はねなんか なくても いつまでも
みんなの ことを わすれませんよ。」
ちいさな ようせいたちは あんしんしました。
「そうだよ。せんちゃんは
ようせいの こころを もった
ステキな にんげんに なるよ。」
「そうすれば きっと また あそびに きて くれるよ。」

せんちゃん
ようせいの こころ わすれないでね!

せんちゃんは
ふじもと産婦人科の
ふじもとせんせいの おかげで
しんちょう 47せんち たいじゅう 3400グラムで
たんじょうしたのでした。
おとうさんと おかあさんは
せんちゃんが うまれて だいかんげきでした。
みんなは
せんちゃんの たんじょうを
おいわいして くれました。
それを みとどけると こうのとりは
まんぞくそうなかおをしてかえっていきました。