子ども向け

かずまくんに おくる
せかいで たった いっさつの えほん
かずまくん、
これからも元気に大きくそだってね
2016年6月16日
かずまくんのことが大好きなママとパパより

あおきかずまくんに
しあわせの はなが たくさん さきますように

とてもきもちのいい にちようび。
かずまくんが
やめしの
こうえんであそんでいると
あたまにコツン
なにかがおちてきました。
それはふしぎなかたちをしていました。
「…なんだろう…」

「かわいいな」
「なにかのタネかなあ」
かずまくんは すごくきになって
タネをポケットにいれました。
それからなのです。
いろいろなことが おこりはじめたのは…。

あるひ いつもみかけるワンちゃんと
すれちがいました。
すると ワンちゃんが
「おはよう」
かずまくんに あいさつをしたのです。
「…え?いまワンちゃんがしゃべった…?」
それが ふしぎのはじまりでした。

かずまくんは
ワンちゃんに はなしかけました。
「いましゃべった?」
ワンちゃんは なにもいいませんが
わらっているように
かずまくんにはみえます。
「そうなの。よくしゃべるのよ」
ワンちゃんのママが わらいました。

タネがポケットにはいっていると
かずまくんは
いままできこえなかったこえが
きこえてくることに きづきました。
なにかがうたっている。
だれかがしゃべっている。

タネの ふしぎなちからでしょうか。
ねこたちや、かぜや
にわのみどりや、とりたちと
かずまくんは
どんどん なかよくなっていきました。

あるひ おつかいにでかけると
こうえんのベンチに
いつかあったワンちゃんの
ママがすわっていました。
なんだかさびしそう。
かずまくんはおもいました。

かずまくんは
なかよくなったとりや、かぜや、ねこたちに
たずねました。
さびしそうなワンちゃんのママに
なにかできることはないかなあ。

すると かぜはやさしく
あたりを つつみました。
とりはたのしいうたを うたいました。
ねこはあしもとに ほほずりしました。
かずまくんも
くうきが やわらかくなっていると かんじました。

「こんにちは、きょうワンちゃんは?」
かずまくんは
ワンちゃんのママに はなしかけました。
「ワンちゃんは にゅういんしているの。
しんぱいでさびしかったの。
はなしかけてくれて ありがとう。
きっとげんきになるわ」
ワンちゃんのママは いつしかえがおになっていました。
そのときワンちゃんの「ありがとう」という
こえが きこえたきがしました。
かずまくんは
みんなのおかげだと おもいました。
そして このタネのおかげだと。
?

かずまくんはさいきん
こんなふうにおもっています。
じぶんから えがおになろう。
するとまわりに
えがおが ひろがっていくから。

かずまくんは
すてきなことをおもいつきました。
「ケーキを食べよう!」
おじいちゃんやおばあちゃんをさそったのです。
「おいしいね」
「いっしょにたべるとおいしいね」
みんなのおいしいものを
たべるときの かおがだいすき!
おいしいものは、しあわせのタネ

さむいひは みんなに
あたたかいこうちゃを いれてあげよう。
あたたかいだけで えがおになるね。
ゆげは、しあわせのタネ。
あついひは みんなに
こおりをいれて ジュースをつくってあげよう。
つめたいだけで ふーっとなるね。
ガラスのしずくは、しあわせのタネ。
かずまくんは つぶやきました。
「みんなのえがおに ありがとう」

かずまくんはタネをもってから
いままでよりも
じぶんが「ありがとう」を
たくさんいっていると かんじています。

「…ふしぎなことは ぜんぶこのタネのおかげ…」
そうおもいながら
かずまくんはタネをさがしました。
でも どこにもみつかりません。
かずまくんは
むねにてをおいて つぶやきました。
「もうあのタネはいらない。だってここにあるから」

しあわせのタネは ゆめのタネ。
みんなの こころのなかにあります。
うれしいことや たのしいことがふりそそいで
すてきなはなを さかせます。
かずまくんは いま2さい。
かずまくんに
もっともっと しあわせなことが
おこりますように。

裏表紙